logo logo_atte 日記 随筆 何処
2020-05-16 09:24:38 JST
熊野川を下る。そう考えた時、どこから始めるべきであろうか。本宮からと言うのが一つの答えであろう。そもそも熊野川なる名称は、下流域である和歌山県内でのものであり、奈良県側の中流域では十津川と呼ばれ、上流域では天ノ川と称される。しかしながら、下流の比較的平坦な流路に沿って歩くだけで、熊野川を歩いて下ったとするのではなんとも寂しい。やはり、上流部から、出来れば源流から辿ってこそ熊野川を制したと言えよう。地図を追う。天ノ川は天川村の川合よりやや東、山上川と川迫川が合流する所から始まる。おそらく最遠の源流はいずれかの先にあろう。河口からの直線距離であれば山上川、流路に沿って測るなら川迫川になるだろうか。どちらを選べば良いのか。悩ましい、と思いきや実は簡単な解がある。山上川は山上ヶ岳西北の谷、川迫川は南麓の谷に端を発する。よって、両者の分水嶺たる山上ヶ岳に登ってしまえば、そこが紛うこと無き熊野川の濫觴と言ってよかろう。