logo logo_atte 日記 随筆 何処
2023-10-14 22:04:10 JST
(2023-10-14) タワ尾根、酉谷山、長沢背稜。晴。 以前からいつか行きたいと思っていたタワ尾根へ。 地形図には登山道として載っていないルートである。 奥多摩の最深部にあり、ハイカーが少ない上にエスケープルートがない。 行ってしまえばどう帰るにしても相当な距離を歩く必要があるので躊躇していた。 寒くなる前の決行である。今の時期であれば万が一道に迷ったり事故ったりしても低体温による支障はないだろう。 さて、いつものように始発電車に乗り、向かう先は奥多摩駅。 ホームはハイカーでごった返しており、バスの臨時便も多数出ているようだ。 そんな中、終着の東日原で降りたのは10人ほど。今日一日で数百数千という人間が奥多摩の山に入っていると思うが、人気の山が混むだけで、マイナーな登山ルートはこんなものである。タワ尾根の登山口がわからず迷っていると同じバスに乗っていた60歳前のベテランハイカーが教えてくれた。ついでに危険ポイントのレクチャーもしてもらう。ありがたいです。今日は奥多摩ひとりぼっちを覚悟してたんだけど、同乗者はみな同じ方向に進んでいるし、みんなタワ尾根かな、心強いなと思っていたら、流石ベテラン、それぞれが地図に乗らない沢道を行くらしい。結局やっぱり一人になりました。 さて、タワ尾根だが登り始めがとにかく急。とんでもない勾配の九十九折りである。手も使って登る岩稜は別として、足だけで歩ける道としてはほぼ最高といえる急傾斜である。息も絶え絶えで一座目の一石山に到着。ここからは一息つける傾斜となる。人形山、金袋山、篶坂ノ丸は難なく通過。ウトウの頭直前は再び急坂。そして始まる岩場地帯は教えてもらった通り左に巻いていったのだが、まぁ、道がわからない。基本は尾根に沿って歩けばいいはずなのだが、タワと呼ばれる広い鞍部は各々が好きに歩くので踏みあとが不明瞭だし、岩場だと踏みあとが残らない。GPS地図がなかったら間違いなく迷っていただろう。それとこの尾根を下る自信もない。下りの尾根道は迷うものである。ピンクテープを頼りに道を探しながら、時には明らかに道とは思えない斜面に足を埋ずめながら登り進んでいく。道のない不安、道を見つけた安心、そして繰り返し。程良い緊張感が味わえるのもまた楽しからずや、、、か。 なお、尾根上はひたすら広葉樹林帯で明るい森が続く最高の道である。登山口を教えてくれたベテランハイカーも、「タワ尾根は奥多摩で一番の紅葉が見れる、二週間後にまた来るほうがいいよ。」と教えてくれた。今日を紅葉狩りの下見として近々また再訪するつもりである。 タワ尾根を無事完登、なんとか長沢背稜(都県界尾根)との分岐に到着。ここからは一般登山道で安心感が半端ない。時間は11時10分。さて、どう帰ろうか?体力はまだありそうだ。、、、と、なると欲が出てくる。よし、奥多摩の最奥、酉谷山に登ってしまおう。訪れる人も少ない奥多摩きっての秘境だ。日が暮れるのが早くなっているので、安全な場所では小走りで飛ばしていく。いいねぇ、長沢背稜、全く誰にも会わない。酉谷山エリアは完全に独り占め。そりゃ、アクセスが無茶苦茶悪いからなぁ。この山に登るのは一部の好事家くらいだろう。酉谷山自体は南の一部にしか展望がなく、絶景とは言えないまでも、静かで遠く富士山を望むこともできるよい山である。少し下って酉谷山避難小屋を見学。小さいながらも清潔で眼前に奥多摩の山々が見渡せる好立地でした。そして長沢背稜自体も広葉樹が多く気持ちのいい道である。そりゃ、こんな山奥までさすがに植林しませんわな。途中二箇所、崖のトラバースで木道になっているところがあるけれども、基本は幅広い安全な道なので走る。一杯水避難小屋でやっと数人のハイカーと出会う。無茶苦茶安心。もう事故っても大丈夫。誰かが見つけてくれる。ここからヨコスズ尾根でバス停へと戻る道は以前にも通ったことがある。安心感からやっぱり走る。、、、で、日没を気にしていたわりには14時20分にバス停着。今まで不安から敬遠していたけど、酉谷山、頑張れば全然日帰りで行けますな。