logo logo_atte 日記 随筆 何処
2021-01-27 16:33:48 JST
今村昌弘『魔眼の匣の殺人』3/5点。屍人荘に引き続きの美少女探偵二冊目。なんか最近ミステリの世界にこのタイプが増えてきたな。読みやすい文体で相変わらず色んな要素てんこ盛りの贅沢な作品。預言者と予見者が「死」を示唆する中で起こる殺人の動機は別段驚くほどではない。超常現象を信じるものもいれば、信じない者、信じないふりをする者もいる。信じたくはないが信じざるを得ない状況に追い込まれていく中で、預言や予見を(事後に)利用して殺人やそのトリックを構築したことは面白いと思うが、もっと踏み込んで、犯人が積極的に預言や予見を(事前に)制御してたらもっと面白かったと思う。例えば、何らかの時限殺人装置を考案し、殺人直前に予見させ、その時のアリバイは確保するとかは考えられそうだ。超能力物はあまり好きではないのだが嫌いでもないので、もっと予知という特殊なガジェットを使い倒す頭のいい犯人が欲しかった所。最終章、殺人とは関係はないが、事の真相は大変面白かった。