logo logo_atte 日記 随筆 何処
2019-12-26 12:46:02 JST
山田風太郎『風来忍法帖』3/5点。風太郎の忍法帖であるから面白いに決まっている。時は戦国後期、麻也姫と七人の香具師。石田治部相手の籠城戦。人間離れした風摩忍者との戦い。登場人物のキャラがとにかく立っている。悪源太助平とか七郎義経とか昼寝睾丸斎とか名前だけで笑うぞ。各人変な特技はあれど、絶対的な強者に立ち向かうには、力押しで敵うわけもなく、知恵を絞り犠牲を厭わぬ覚悟が必要。香具師忍法は鶏鳴狗盗、ならず者の一芸も大活躍。巨根(でかすぎて入らないため童貞)とか何の役に立つんだと思っていたら役に立ったよ。やはり、時代錯誤や荒唐無稽は低評価にはつながらない。娯楽小説なのだから面白ければ良いのである。体がバラバラになっても、つなぎ合わせて生き返ったり、身長も性別も異なる他人に変身できるなど、 SFやファンタジーでも禁じ手扱いの技も忍者だからいいのである。麻也姫は嬋娟可憐でかつ気丈な姫武者と来たもんだ。どれだけ時代を先取りしてんだと思うが、太田道灌と北条早雲の血を引く姫君とあらばそれも良し。色々と力技で納得させられる筆使いである。ただ、『甲賀忍法帖』には及ばない。『柳生忍法帖』にも僅かに劣る。よって、3点。